「後先を見れないんだよ」

誰かが言っていた。

「そいつにだって俺らと同じ時間の密度があってそれでお腹すいたり

眠たくなったり天気気にしたりするだろ、なぁ」

上の宿で取った部屋の床、そいつは片腕を持ち上げて顔を隠し、

それでも声を震わせる事なくそう言った。

「ごめんヅラ、正直しんどいわ、マジで」

熱が高い。そう思った。

いつも先頭に立つことを誰もが気負いしないように振舞ってやっての

けるこの男の口が、

そんな類の言葉を紡ぐのは珍しいなんてもんじゃない。

 

それでも明日になればお前はその体を鳴らして戦場を駆け抜ける。

もう戦いの意図すら見つけられない地面を叩いて。

そうしてそれに依存や頼りを持ちかけている俺達も分かっている。

限界が近い。誰も彼も。

全ての限界が近い。

 

 

すうと眠りについた男の顔を見て考えた。

それでもさっきの言葉に。

俺、じゃなく。

俺ら、と言ったこいつの心の変な強さに笑った。

 

白夜叉と名づけてそう呼ばれてもお前は自分だけがとは嘆かない。

それがどれだけの白を紡ぐかを知っているつもりだからだ。

だから馬鹿の坂本なんかはずっと心待ちにしている。

 

 

お前が、

自分が、と心を吐き出すのを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


・・・力不足ですいません。

でも楽しかった。こういう短いものかなり大好きです。オロロローン