「泣かないで」
甘い匂いがした。総悟の髪は綺麗に光をまとって、風が通る度に流れた。
たとえば夜が訪れる時、ふいに落ちたくなる。黒い海の底に。赤い彼岸花の下に。
もうあの重い制服は脱ぎ捨てたはずなのに、嫌なにおいがまだ肩に残ってるようで。

「泣かないで」

それは響きも色も高さも大きさも何もかもが甘くて、包むように回された腕に安心して息を吐き出せた。
自分よりも小さいそれは温かく、目を少しむこうにに向ければ、開けられたままの襖のそこから月明かりが差し込んでいる。
膝を立ててくるむように頭を包み込んで、総悟はその言葉以外は何もしゃべらなかった。
俺もずっと布団につっこんだ脚をそのままにぼうっと座り込んでいるだけだったのに、総悟はとてもよいタイミングで繰り返した。泣かないで。

 

「泣かないで」

 

 

泣いてなどいないのに、俺泣いてるんだなぁと実感して、甘えた。
総悟はキスも何もせずに俺の頭に頬をすりよせるだけだった。それでも、芯まで安心して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣かないで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________

夜中に恐い夢を見て起きちゃった土方さんをよしよしする総悟。

・・・のはずがまた暗い・・・

そういえば最近、うちの銀魂たちさんは本番してませんね(そういうことを真顔でいうな)