白い紙の箱をぽかんと投げて

山本はあーあーと空を仰ぐ。

入道雲がもくもくと幸い影を伸ばしながら流れていて、十代目が暑いねーとつぶやいた。

俺は煙草を吸おうかどうか迷って朝から気になっている山本の腕を見た。

日によく焼けた腕がにゅっと飛び出してシャツはしわをつくっている。

無造作に右手で左手の袖をわしわしして山本は相変わらず空を仰いでいた。

 

 

白いシャツと入道雲と十代目と昼の匂いと屋上。

取り出した煙草を口先で噛んで体重を後ろにやや傾けて自分も空を仰ぐ。

眩しい青い青い空はきっと十代目と山本の味方だ。

黒い短い髪が境目をきっちり分けて空とそれとに色づけされているのを見て

のけぞらせたあごのラインをこっそりと確かめた。

 

 

じりじりと焼ける暑さがやってきて、その中で一番輝いているのは多分、

山本武。

 

 

 

 

 

 

 

今朝見つけた包帯のない腕の違和感を話したら太陽から愛されるべき子供は大きく笑った。

思い出したくも無いグランドの、土の粉っぽい匂い。

それが似合うそいつはいつまでたっても火をつけない俺を見て、獄寺、と呼んだ。

 

煙草はそれきり煙ばかりを吐いて空気を濁らすけど、夏の匂いは消えない。

大きな季節が丸ごと抱え込んで大声で叫んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

夏だ。少年達よ。

今ぐらいは馬鹿で豪快でよそよそしくて微妙に恥ずかしい事をしろ。

 

 

 

 

 

時が過ぎれば夏の思い出。

白い包帯は今日なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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一足先に夏。夏先取り。先取り過ぎる。

夏は少年とか白いシャツとか山本武とか獄寺の腹ちらとか夏休みとか、萌え要素が多くて楽しみです。

それにしても先取りしすぎた。